悪を憎み、善から離れず 教頭 鶴田葉月
◆9月のテーマは、「共に生きる」。関連の聖書のみ言葉は、ローマの信徒への手紙第12章15節「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。」となっています。近いところで、皆さんは、日曜日の海星祭で喜ぶ人と共に喜ぶ体験ができたでしょう。◆心が通う周囲の人と、うれしいことや残念なことがあったとき、意識せずとも、つい、自分のことのように笑ったり、泣いたりという経験は、私たちの心を豊かにしてくれるものです。そして、今月の聖書の個所について、前後を読んでみて、考えてみました。◆「…共に泣きなさい。」の前の部分、つまり第12章の9~14節は、「愛には偽りがあってはなりません。悪を憎み、善から離れず、兄弟愛をもって互いに愛し、尊敬をもって互いに相手を優れた者と思いなさい。怠らず励み、霊に燃えて、主に仕えなさい。希望をもって喜び、苦難を耐え忍び、たゆまず祈りなさい。聖なる者たちの貧しさを自分のものとして彼らを助け、旅人をもてなすよう努めなさい。あなたがたを迫害する者のために祝福を祈りなさい。祝福を祈るのであって、呪ってはなりません。」◆そして、今月のみ言葉「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。」に続き、この後ろには、「互いに思いを一つにし、高ぶらず、身分の低い人々と交わりなさい。自分を賢い者とうぬぼれてはなりません。だれに対しても悪に悪を返さず、すべての人の前で善を行うように心がけなさい。できれば、せめてあなたがたは、すべての人と平和に暮らしなさい。愛する人たち、自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい。」とあります。◆普段、この教えを心にしまっておいて、うまく行かないときにこそ思い出し、自然とそのように行動できるようになったらいいと思いませんか?そうすれば、誰かを憎んで眠れないとか、いつか仕返しをしてやろうなどと、不穏な思いに心を惑わされずに済むのです。◆私の方はこの夏、大学時代の弓道部の仲間が、ご主人の実家がある長野県に一家転住することになったため、お見送りで久しぶりに顔を合わせました。懐かしい思い出をたどりながら、同時に自分を振り返る機会となりました。私たち大人は、皆さんと比べますと、すでに高校での部活動や学校行事や受験という幅広いチャレンジと学びを通して自分を鍛え、自分の将来や適性に悩んだ時代を終えています。大学では、学ぶことそのものを味わい、友人たちとも大人の自覚を持って付き合いながら、社会の一員としての役割を果たす準備を行いました。専門分野の研究だけでなく、ボランティア活動やアルバイトなどの経験も重ねています。就職してからは、世の中について発見し、反省しながらここまで来たわけです。◆私は、いつでもだいたい、この道が一番!と考えるほうで、あの時、別の道を選んでいたら…とはなりませんので、人生の道はこのまま進むと思います。人生後半の目標は、私を攻撃する人、私を理解しない人を敬えるようになりたいということです。◆皆さんも、高校時代、クラスや部活動の仲間、先生方と、平和に、奉仕の心を持って生活してください。そして、修学旅行に出かける2年生にも、毎日多くの実りがありますように。